時辰儀とは?
じしんぎ
時辰儀とは、主に航海で用いられた精密な携帯用時計で、正確な経度測定を可能にし大航海時代以降の航法を革新した装置です。
時辰儀(じしんぎ)とは、英語で「マリン・クロノメーター(marine chronometer)」と呼ばれる、航海用に特化した高精度の携帯時計のことです。18世紀のヨーロッパで開発され、海上における正確な経度測定を可能にしたことで、航海術に革命をもたらした機器です。
海上で経度を知るためには、基準となる子午線(グリニッジ子午線など)の正確な時刻を知り、現地時刻との差から経度を計算する必要があります。1時間の時刻差が経度15度に相当するため、1秒のずれが約450メートルの位置誤差を生じさせます。そのため、船上の過酷な揺れや温度・湿度の変化に耐えながら時刻を正確に刻み続ける装置が必要とされました。
イギリスの時計師ジョン・ハリソンが18世紀に開発した「H-4」がその実用的な先駆けとして知られており、英国政府が懸けた経度賞(longitude prize)の獲得をめぐる歴史は今も語り継がれています。時辰儀の主な構造的特徴は以下の通りです。
- 温度変化による金属の膨張を補正する複合バランスホイール
- 摩擦を最小化した精密な脱進機構
- 船の揺れを吸収するジンバル(万能継手)式の取り付け台
GPSが普及する20世紀後半まで、時辰儀は航海における最重要機器のひとつであり続け、精密機械工学の発展にも大きく貢献しました。
使い方・例文
19世紀の帆船航海記を読むと、航海士が時辰儀の時刻と太陽の位置から船の経度を割り出す場面が登場します。
この用語をシェア
最終更新: