信頼できない語り手とは?
しんらいできないかたりて
信頼できない語り手とは、読者にその発言や認識の正確さを疑わせるような語り手のことで、小説などの物語技法の一つです。
信頼できない語り手(unreliable narrator)とは、語り手の語る内容や判断が、何らかの理由により客観的事実や作品全体の文脈とずれており、読者がその信憑性を疑いながら読み進めることを求められる物語技法上の語り手の類型です。
語り手が「信頼できない」理由には様々なパターンがあります。
- 精神的・心理的不安定(妄想・記憶障害・強い偏見)
- 幼さや経験不足による認識の限界
- 意図的な嘘や隠蔽
- 自己正当化による都合のよい解釈
- 情報の意図的な省略
この概念はアメリカの批評家ウェイン・C・ブースが1961年の著書『小説の修辞学』で理論化したとされます。代表的な例として、カズオ・イシグロの『日の名残り』(語り手が自己欺瞞を抱える執事)や、エドガー・アラン・ポーの短編(語り手の狂気が疑われる一人称)などが挙げられます。
信頼できない語り手を用いることで、作者は読者に能動的な読解を促し、物語に多層的な意味と緊張感をもたらすことができます。現代の映画やゲームにも広く応用されている重要な物語技法です。
使い方・例文
カズオ・イシグロの小説『日の名残り』では、主人公の執事スティーブンスが自分の過去の選択を誇らしげに語るものの、読者はその語りから彼の後悔や自己欺瞞を読み取ることができる、といった場面で登場します。
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