ネーター環とは?
ねーたーかん
ネーター環とは、「昇鎖条件」を満たす可換環のことで、代数幾何学や代数的整数論の基礎をなす重要な概念です。
ネーター環(Noetherian ring)とは、イデアルの昇鎖が有限ステップで停止するという「昇鎖条件(ascending chain condition)」を満たす環のことです。すなわち、イデアルの列 I₁ ⊆ I₂ ⊆ I₃ ⊆ … があるとき、ある番号 n から先はすべて Iₙ = Iₙ₊₁ = … となる性質を持ちます。
この概念は、20世紀初頭に活躍したドイツの数学者エミー・ネーターにちなんで命名されました。ネーター環には次のような重要な性質があります。
- すべての有限生成加群は有限プレゼンテーションを持つ
- 素イデアルの降鎖が有限で止まる
- 多項式環 k[x₁, …, xₙ](k は体)はヒルベルトの基底定理によりネーター環である
- 整数環 ℤ もネーター環の代表例
代数幾何学においては、ネーター環上のスキームを扱うことで、局所的な構造の解析が格段に容易になります。現代数学において代数的構造を扱う際の標準的な前提条件として用いられ、その応用は整数論・表現論・可換代数など広範に及びます。
使い方・例文
整数環 ℤ や多項式環 ℚ[x] はネーター環の典型例であり、代数幾何学の講義ではこれらの環上のスキームを議論する際に「ネーター環の仮定のもとで」という条件が頻繁に登場します。
この用語をシェア
最終更新: