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GOSAT(いぶき)とは?世界初の温室効果ガス観測衛星を解説

公開 2026年8月19日

この記事は 「GOSAT(いぶき)とは?」 の解説をくわしく掘り下げたものです。

開発の背景と目的

地球温暖化対策の国際交渉には、大気中の温室効果ガス濃度を精度よく把握するデータが欠かせない。地上の観測点は世界に数百カ所程度しかなく、海洋上や森林地帯など観測点の少ない地域のデータが不足していた。この課題を解決するため、JAXAと環境省、国立環境研究所が共同で開発を進めたのがGOSAT、愛称「いぶき」である。2009年1月に打ち上げられ、世界で初めて温室効果ガスの観測を主目的とする衛星として運用が始まった。

観測の仕組みと特徴

いぶきに搭載されたフーリエ変換分光計(TANSO-FTS)は、地表や雲から反射・放出される赤外線を波長ごとに細かく分析し、大気中の二酸化炭素やメタンの濃度を算出する。地球全体を数日で一巡する軌道を周回しながら、同じ地点を繰り返し観測することで季節変化や地域差を把握できる。あわせて雲やエアロゾルを検知するセンサー(TANSO-CAI)も搭載し、雲の影響を受けた観測データを取り除く精度向上にも役立てている。

得られた成果と活用

いぶきの観測データは、都市部や工業地帯からの二酸化炭素排出量の推定、森林による吸収量の把握など、地球規模の炭素循環を解明する研究に活用されてきた。各国が自己申告する温室効果ガス排出量を衛星データで裏付ける「検証」の役割は、国際的な排出量報告の信頼性向上に貢献していると評価されている。

国際的な評価と課題

いぶきの観測データは日本国内にとどまらず、世界各国の研究機関や気象機関にも提供され、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書作成をはじめとする国際的な科学的検討にも活用されてきた。衛星による第三者的な観測データは、各国が独自に集計する排出量統計を補完し、より透明性の高い国際的な気候変動対策の基盤を支える役割を担っている。

一方で、雲に覆われた地域や夜間は観測が難しいなど、衛星観測にも限界はある。地上観測網や航空機観測と組み合わせることで精度を補い合う体制づくりが、今後の温室効果ガス監視には欠かせないとされている。

後継機と今後の展望

2018年には性能を向上させた後継機GOSAT-2(いぶき2号)が打ち上げられ、観測精度と対象ガスの種類が拡充された。さらに脱炭素社会の実現に向け、都市単位で排出源を特定できる観測衛星の構想も進められており、いぶきシリーズが築いた衛星観測技術は今後の気候変動対策の基盤として重要性を増している。

よくある疑問

  • いぶきは何を測っているのか:二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスの大気中濃度を測定している。
  • 地上観測との違いは何か:広範囲かつ継続的に、地上に観測点がない地域まで含めて測定できる点が異なる。

このように、いぶきは地上観測だけでは埋められなかった空白地帯のデータを補完し、地球全体の温室効果ガス濃度分布をより正確に描き出す役割を果たしてきた。打ち上げから10年以上にわたって蓄積されたデータは、長期的な濃度変化の傾向を分析する上でも欠かせない資料となっており、気候変動研究における日本発の重要な貢献として位置づけられている。

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