イデアルとは?
いである
イデアルとは、環(かん)と呼ばれる代数的構造において、特定の性質を持つ部分集合のことで、現代代数学の中心的な概念のひとつです。
イデアル(ideal)は、抽象代数学における環論の基本概念です。環とは、加法と乗法の二つの演算が定義された集合のことで、整数全体の集合や多項式の集合などがその代表例です。
環 R の部分集合 I がイデアルであるとは、次の条件を満たすことをいいます。
- I は加法に関して部分群をなす(I の元同士の差が I に含まれる)
- 環 R のどの元 r を I の元 a に掛けても、その積 ra および ar が I に含まれる(吸収則)
イデアルは「左イデアル」「右イデアル」「両側イデアル」に分類されます。可換環の場合は左右の区別がなく、単にイデアルと呼ばれます。整数環 Z における偶数全体の集合が典型的な例で、偶数同士の和・差は偶数であり、偶数に任意の整数を掛けても偶数になるため、2Z はイデアルです。
イデアルは環の剰余環(商環)を構成する際に不可欠であり、整数の合同式(modular arithmetic)を一般化したものと考えることができます。また、整数論や代数幾何学において「素イデアル」「極大イデアル」「単項イデアル」などの概念が重要な役割を果たします。19世紀にエルンスト・クンマーが数論の研究で導入したイデアル数の概念が起源とされ、リヒャルト・デデキントがこれを現在の形に整備しました。
使い方・例文
「整数環において、3の倍数全体が作るイデアルを通じて合同式 mod 3 の計算が理解できる」というように、代数学の講義や教科書でよく登場します。
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