ヌルッディーンとは?
ぬるっでぃーん
ヌルッディーンは、12世紀のイスラム世界における有力な君主で、十字軍に対抗してシリアとエジプトを統合する基盤を築き、サラディン台頭の礎となった人物です。
ヌルッディーン(Nur ad-Din、1118〜1174年)は、正式名をヌール・アッディーン・マフムード・イブン・ザンギーといい、ザンギー朝のシリア君主(ダマスクス王)です。父イマードゥッディーン・ザンギーの後を継ぎ、アレッポを本拠に勢力を拡大しました。
ヌルッディーンの治世における最大の功績のひとつは、分裂していたムスリム勢力を糾合し、十字軍国家に対する軍事的・政治的な統一戦線を形成しようとした点です。1154年にはダマスクスを平和的に支配下に収め、シリア全土をほぼ統一しました。さらにエジプトのファーティマ朝に介入し、将軍シールクーフ(サラディンの叔父)を送り込むことで間接的にエジプトへの影響力も確立しました。
ヌルッディーンの歴史的特徴として以下が挙げられます。
- スンニ派イスラムの信仰に篤く、ジハード(聖戦)の旗手として民衆の支持を獲得
- 宗教施設・学校(マドラサ)・病院の建設など内政充実に注力
- 十字軍に対し軍事的圧力を維持し続けたが、エルサレム奪還は果たせず
- 彼の死後、家臣サラディンが後継者として台頭しアイユーブ朝を樹立
ヌルッディーンはサラディンに先んじて十字軍に対するイスラム側の統一勢力の基礎を作り上げた人物として、十字軍時代史において欠かせない存在です。その善政と信仰心の評判は生前から高く、歴史家イブン・アシールをはじめとする史家から「公正な君主」として称賛されています。
使い方・例文
「ヌルッディーンが築いたシリアの統一体制は、その後サラディンが十字軍からエルサレムを奪還する際の政治・軍事的な足場となった」のように、十字軍やイスラム史の解説で登場します。
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