電子伝達系とは?
でんしでんたつけい
電子伝達系とは、ミトコンドリア内膜でNADHなどの電子を段階的に伝えながらATPを大量に合成する細胞呼吸の最終段階のことです。
電子伝達系(でんしでんたつけい、electron transport chain)とは、細胞呼吸の最終段階で行われる化学反応の連鎖で、ミトコンドリアの内膜に埋め込まれた複数のタンパク質複合体(複合体I〜IV)が電子を順に受け渡しながら、エネルギーを取り出してATP(アデノシン三リン酸)を大量に合成するしくみです。
電子伝達系に供給される電子は、解糖系やクエン酸回路(TCAサイクル)で生産されたNADH・FADH2という電子運搬体から取り出されます。電子が複合体を通過するたびに水素イオン(プロトン)がミトコンドリア内膜を越えて膜間腔に汲み出され、膜の両側でプロトン勾配(電気化学的勾配)が生じます。
このプロトン勾配を駆動力として、ATP合成酵素(複合体V)がADPをATPに変換します。この仕組みは「化学浸透」と呼ばれ、イギリスの生化学者ピーター・ミッチェルが1961年に提唱し、後にノーベル化学賞を受賞した概念です。
電子伝達系の主な特徴は次のとおりです。
- 1分子のグルコースから最大約34個のATPを産生
- 電子の最終受容体は酸素(O2)で、水(H2O)が生成される
- 酸素が不足すると電子伝達が止まり嫌気的代謝に切り替わる
- シアン化物などはこの系を阻害する毒として知られる
電子伝達系は生命活動のエネルギー産生の中核を担う重要なしくみで、高校生物・大学生化学の必修テーマです。
使い方・例文
「激しい運動で酸素が十分に供給されているときは電子伝達系が活発に働いてATPが大量に作られる」というように、エネルギー代謝の文脈で登場します。
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