電子スピン共鳴とは?
でんしすぴんきょうめい
電子スピン共鳴とは、磁場中に置いた物質に特定のマイクロ波を照射することで不対電子のスピン状態を調べる分析手法のことです。
電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)とは、不対電子を持つ物質を静磁場の中に置き、マイクロ波領域の電磁波を照射したときに特定の周波数で吸収が起こる(共鳴する)現象を利用した分析・計測技術です。電子常磁性共鳴(EPR:Electron Paramagnetic Resonance)とも呼ばれます。
電子はスピン角運動量を持ち、磁場の中でスピンが磁場方向に平行(低エネルギー)または反平行(高エネルギー)の2つの状態に分かれます(ゼーマン分裂)。この2状態のエネルギー差に対応するマイクロ波を照射すると共鳴吸収が起こります。共鳴条件はhν = gμBB₀で表され、g値と呼ばれる定数が物質の電子環境を反映します。
ESRが活用される主な分野は以下のとおりです。
- 化学・材料科学:ラジカル種(不対電子を持つ分子)の検出と同定、触媒の活性点の分析。
- 生化学・医学:活性酸素種(ROS)や生体内フリーラジカルの検出、タンパク質の構造解析。
- 物性物理:磁性体の磁気構造や欠陥の研究。
- 食品・環境:放射線照射食品の検知、地質試料の年代測定。
医療用のMRI(磁気共鳴画像法)が水素原子核のスピンを利用するのに対し、ESRは電子スピンを対象とする点が異なります。
使い方・例文
食品の放射線照射検査や、体内で生成される活性酸素(フリーラジカル)の測定にESR装置が使われます。また有機化学の研究室では、反応中間体として生じるラジカル種を同定するためにも利用されます。
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