解離性同一性障害とは?
かいりせいどういつせいしょうがい
解離性同一性障害とは、ひとりの人物のなかに複数の異なる人格状態が存在し、交代しながら行動や記憶をコントロールする精神疾患です。
解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder:DID)は、かつて「多重人格障害」とも呼ばれた精神疾患で、ひとりの人物が二つ以上の明確に異なるアイデンティティ(人格状態)を持ち、それぞれが独自の記憶・思考・行動パターンを示す状態です。人格が交代する際には、元の人格がその間の出来事を覚えていないことが多く、記憶の空白が生じます。
主な原因として、幼少期(特に10歳以前)に繰り返される深刻なトラウマ(虐待・ネグレクトなど)が挙げられます。耐えがたい体験から自分を守るために意識が「分割」される心理的防衛機制として理解されています。ただし、すべての患者が虐待を経験しているわけではありません。
主な症状は次の通りです。
- 複数の人格状態の存在(年齢・性別・話し方が異なる場合もある)
- 記憶の空白(解離性健忘)
- 自分の行動や発言の記憶が欠落する「離人感」
- フラッシュバックや悪夢などのPTSD関連症状
診断にはDSM(米国精神医学会の診断基準)が用いられます。治療の中心は心理療法(特にトラウマ焦点化療法)で、安全な治療関係のなかでトラウマを統合し、人格状態の協調を促すことが目標です。薬物療法は不安やうつなどの随伴症状に対して補助的に使われます。
使い方・例文
外来で診察を受けていた患者が、突然別の人格に切り替わり、自分が病院にいる理由がわからないと話す場面が解離性同一性障害の典型的な場面として描かれることがあります。
この用語をシェア
最終更新: