硫酸塩還元菌とは?
りゅうさんえんかんげんきん
硫酸塩還元菌とは、酸素のない環境で硫酸塩を電子受容体として利用し、硫化水素を生成する嫌気性細菌の総称で、地球の硫黄循環において中心的な役割を果たします。
硫酸塩還元菌(SRB: Sulfate-Reducing Bacteria)は、嫌気条件下で硫酸イオン(SO₄²⁻)を最終電子受容体として呼吸(硫酸塩呼吸)を行い、硫化水素(H₂S)を産生する微生物群の総称です。細菌と古細菌の両ドメインにわたって多数の属・種が知られています。
生息環境は、海底堆積物・湖底・湿地・腸内・石油貯留層・腐食した金属パイプ内など、酸素が乏しい多様な場所に及びます。特に海洋堆積物中では非常に高い密度で存在し、有機物の分解と硫黄循環の要として機能しています。
代表的な属には以下のものがあります。
- デスルフォビブリオ(Desulfovibrio):最も広く研究される属
- デスルフォバクター(Desulfobacter):酢酸を完全酸化できる
- デスルフォコッカス(Desulfococcus):球菌形の種を含む
生態系への影響として、産生される硫化水素は金属の腐食(微生物誘発腐食:MIC)を引き起こすため、石油パイプラインや船舶などで深刻な問題となっています。一方、深海の熱水噴出孔生態系では化学合成の基盤として他の生物の栄養源となる重要な役割も担っています。また、炭素・窒素・鉄の各元素循環とも密接に連動しています。
使い方・例文
石油・ガス産業では硫酸塩還元菌によるパイプラインの腐食が大きな課題となっており、防食技術や微生物管理の研究で頻繁に取り上げられます。また、排水処理や重金属汚染土壌の浄化(バイオレメディエーション)にも活用されています。
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