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異本とは?

いほん

異本とは、同一の書物や作品でありながら本文の内容や表現が異なるバリエーションを持つ写本版本のことで、古典文学研究で重要な概念です。

異本(いほん)とは、ある書物・文献と同一の作品でありながら、本文の語句・章段・内容が異なるものを指します。写本(手で書き写した本)・版本(木版や活字で印刷した本)のいずれにも生じます。「異写本」「別本」「別伝」などとも呼ばれます。

異本が生まれる主な原因は以下のとおりです。

  • 書写の際の誤記・省略・補足による変化
  • 流布する過程での意図的な改変・追記・削除
  • 地域ごとに独自の発展を遂げた伝本系統の分岐
  • 読者層に合わせた平易化・詳述化による改訂

日本の古典文学では、『源氏物語』『平家物語』『万葉集』など多くの古典作品に複数の異本が存在します。例えば『平家物語』には「覚一本(かくいちぼん)」「延慶本(えんきょうぼん)」など系統の異なる多数の伝本があり、それぞれで内容・表現・章段構成が大きく異なります。

文献学・国文学の研究において、異本の比較・校合(こうごう)は原典に近いテキストを復元するための「校本(テキストクリティーク)」作業として欠かせません。どの異本が最も原形に近いかを議論することは、作品解釈にも影響を与えます。デジタル人文学の進展により、異本の画像データベース化や全文比較ツールの開発も進んでいます。

使い方・例文

卒業論文で『平家物語』を研究する際に、複数の異本を比較しながら本文の変遷を追うという作業が行われます。

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