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分子時計とは?

ぶんしとけい

分子時計とは、DNAやタンパク質のアミノ酸配列の変化速度をもとに、生物種の分岐年代を推定する手法のことです。

分子時計(Molecular Clock)とは、生物のDNA・RNA・タンパク質の分子配列が一定の速度で変化(変異)するという仮説をもとに、異なる生物種が共通祖先から分岐した時期を推定する分子進化学の概念・手法です。

1960年代にライナス・ポーリングとエミール・ズッカーカンドルによって提唱されたこの考え方は、中立進化論(大部分の変異は自然選択に対して中立であり、一定の速度で蓄積するという理論)に支えられています。つまり、突然変異が一定の速度で生じるという「分子時計の一定性」を前提に、現在の生物のゲノム配列の違いが大きいほど、分岐からより長い時間が経過していると推定できます。

分子時計の主な利用場面は以下のとおりです。

  • 化石記録が乏しい生物の系統樹における分岐年代の推定
  • ウイルスの出現時期や感染拡大の追跡(SARSやインフルエンザウイルスなど)
  • ヒトとチンパンジーの共通祖先からの分岐時期の推定
  • 農業害虫や病原菌の進化速度の推定

ただし、変異速度は生物種・遺伝子・環境によって異なり「時計」が常に一定とは限らないため、複数の遺伝子や統計モデルを組み合わせて精度を高める「緩和分子時計」などの手法が現代では主流となっています。

使い方・例文

「ヒトとチンパンジーは約600〜700万年前に共通祖先から分岐した」という推定は、分子時計の手法を用いてミトコンドリアDNAや核DNAの配列を比較することで導き出されます。

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