ベクトル場とは?
べくとるば
空間の各点にベクトル(大きさと向きを持つ量)が対応づけられた数学的な構造で、物理現象の記述に広く使われます。
ベクトル場(vector field)とは、ある領域(平面や三次元空間など)の各点に対して、それぞれベクトルを対応させる写像のことです。スカラー場が各点に一つの数値を対応させるのに対し、ベクトル場は各点に方向と大きさを持つ量を与えます。
数学的には、n次元ユークリッド空間のある領域Dで定義されたベクトル値関数 F: D → ℝⁿ がベクトル場に相当します。たとえば三次元空間であれば、F(x, y, z) = (P(x,y,z), Q(x,y,z), R(x,y,z)) の形で表されます。
ベクトル場は物理学・工学において特に重要で、以下のような現象を数学的に記述するために用いられます。
- 流体力学:水や空気の速度場(各点での流速と方向)
- 電磁気学:電場・磁場(各点での電気力・磁気力の向きと強さ)
- 重力場:質点が受ける重力の方向と大きさの分布
- 熱流束場:熱エネルギーの流れる方向と量
ベクトル場の解析には発散(div)・回転(rot/curl)・勾配(grad)などの微分演算子が用いられます。発散はベクトル場の「湧き出し」を、回転は「渦の強さ」を表します。また、ベクトル場に沿った線積分は物理的な「仕事」を意味し、ストークスの定理やガウスの定理といった重要な積分定理と結びついています。
使い方・例文
天気図で描かれる風向きと風速の分布図は、大気の速度ベクトル場を可視化したものであり、ベクトル場の直感的なイメージとして最もわかりやすい例のひとつです。
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