ヒス束とは?
ひすたば
心臓の電気信号を心室に伝える特殊な筋線維の束で、正常な心拍リズムを維持する構造です。
ヒス束(His束)とは、心臓の刺激伝導系を構成する特殊な筋線維の束で、房室結節から始まり心室中隔を通って左右の脚(束枝)に分岐する部分を指します。ドイツの解剖学者ヴィルヘルム・ヒスによって記載されたことからこの名があります。
心臓は自律的に電気信号を発生させて規則正しく収縮します。その伝導経路は、洞房結節→房室結節→ヒス束→左脚・右脚→プルキンエ線維→心室筋という順序です。ヒス束はこの経路において房室結節と心室の間を橋渡しする重要な役割を担っており、信号を心室全体に効率よく届けるための中継点として機能しています。
ヒス束に障害が生じると、房室ブロックや束枝ブロックといった不整脈が引き起こされます。これらは心電図(ECG)上で特徴的なパターンとして検出されます。重篤な完全房室ブロックでは心室への信号が途絶し、心拍数が著しく低下するため、ペースメーカーの植え込みが必要になることがあります。
近年では「ヒス束ペーシング」と呼ばれるペースメーカー治療法も注目されており、ヒス束に直接リードを留置することで生理的に近い電気刺激を心室に与え、心機能を保ちやすいとされています。
使い方・例文
心電図検査でPR間隔の延長や脚ブロックのパターンが見られた場合、ヒス束を含む刺激伝導系の異常が疑われ、循環器科での精密検査が行われます。
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