ハッサル小体とは?
はっさるしょうたい
ハッサル小体とは、胸腺の髄質に存在する同心円状の細胞構造物で、免疫の中枢である胸腺の特徴的な組織マーカーです。
ハッサル小体(Hassall's corpuscles)とは、胸腺の髄質に存在する、扁平上皮様細胞が同心円状に積み重なった特徴的な構造物です。19世紀のイギリス人医師アーサー・ヒル・ハッサルが初めて詳しく記載したことからその名がつきました。
胸腺はT細胞(免疫細胞の一種)を成熟させる一次リンパ器官であり、ハッサル小体はその髄質に多数散在しています。形態的には直径30〜150マイクロメートル程度の円形〜楕円形の構造で、ケラチンを豊富に含む細胞が渦巻き状に配列しているため、染色標本では同心円状のパターンとして観察されます。
機能面では、長らく「退化した上皮細胞の残骸」と考えられていましたが、近年の研究により重要な役割が明らかになりました。
- 制御性T細胞(Treg)の分化誘導に関わるサイトカインを分泌する
- 自己反応性T細胞の除去(負の選択)を補助する
- 胸腺微小環境の維持に寄与する
病理学的にはハッサル小体の有無や形態が胸腺の発達状態や疾患の診断指標となり、重症筋無力症や胸腺腫の組織診断においても参照されます。加齢とともに胸腺は萎縮しますが、ハッサル小体は比較的長く残存する構造として知られています。
使い方・例文
病理組織検査で胸腺の切片を作製した際、同心円状に積み重なった細胞集塊が観察された場合、それがハッサル小体であり、検体が胸腺由来であることの重要な根拠になります。
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