キルヒホッフの法則(放射則)とは?
きるひほっふのほうそく
キルヒホッフの放射則とは、熱平衡状態にある物体は光や電磁波を吸収する割合と放出する割合が等しいという、熱放射の基本法則です。
キルヒホッフの放射則(英: Kirchhoff's law of thermal radiation)とは、19世紀のドイツの物理学者グスタフ・キルヒホッフが提唱した熱放射に関する法則で、「任意の物体が熱平衡状態にあるとき、特定の波長・方向における吸収率と放射率は等しい」というものです。
この法則の核心は、良く光を吸収する物体は同じ波長・温度のもとで良く光を放射するという対称性にあります。完全に全ての電磁波を吸収する仮想的な物体を「黒体(こくたい、black body)」と呼び、黒体の放射率はその波長における最大値(1)となります。実際の物体はすべての波長にわたって黒体よりも低い放射率をもちますが、吸収率と放射率は常に等しいという関係が保たれます。
この法則が重要な理由は次のとおりです。
- 大気科学・気象学において、大気や地面が太陽放射を吸収・再放射する過程の計算に不可欠
- 地球の温暖化メカニズム(温室効果ガスの赤外線吸収と再放射)の理論的基盤
- 恒星の表面温度や組成を分光観測から推定する天文学への応用
- 赤外線センサー・放射温度計などの工業計測機器の設計原理
キルヒホッフのこの法則は、後にプランクの黒体放射の法則やシュテファン・ボルツマンの法則へとつながり、量子力学誕生の一歩を促した歴史的に重要な発見でもあります。
使い方・例文
「衛星から地球の放射エネルギーを測定する際、キルヒホッフの放射則に基づいて大気の吸収率と放射率を同一視して計算する」のように、気象や物理学の解説で登場します。
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