エンカウスティクとは?
えんかうすてぃく
エンカウスティクとは、溶かした蜜蝋(みつろう)に顔料を混ぜて描く古代から伝わる絵画技法で、独特の光沢と透明感が特徴です。
エンカウスティク(Encaustic)は、ギリシャ語の「焼き付ける」を意味する言葉に由来する絵画技法です。蜜蝋を主成分とする画材に顔料を混ぜ、熱を加えて溶かした状態で支持体(板・布・石など)に塗り付け、さらに熱で溶融・定着させることで層を重ねていきます。
この技法の歴史は古く、古代エジプトやギリシャ・ローマ時代にまでさかのぼります。特に有名なのが、エジプトのファイユームで発見された「ファイユーム肖像画」群で、1〜3世紀頃に制作されたミイラに添える肖像画にエンカウスティク技法が用いられており、2000年近くを経た現在でも鮮明な色彩を保っています。これは蜜蝋の高い耐候性と保存性を示す証拠です。
技法上の特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 速乾性が高く、乾燥を待たずに重ね塗りができる
- 半透明の蜜蝋層の積み重ねにより深みのある光沢が生まれる
- 熱工具で再加熱することで融合・混色・テクスチャ加工が可能
- 揮発性溶剤を使わないため環境負荷が少ない
中世以降は他の技法に押されて一時衰退しましたが、20世紀になって現代アーティストの間で再評価されました。ジャスパー・ジョーンズがエンカウスティクを用いた作品で知られており、現代でも多くのアーティストが実験的な表現手段としてこの技法を活用しています。
使い方・例文
熱したアイロンやヒートガンで蜜蝋を溶かしながら板に着色していく制作過程は、通常の絵画技法とは大きく異なり、ワークショップでも人気のある体験型の技法です。
この用語をシェア
最終更新: