調和振動子とは?
ちょうわしんどうし
調和振動子とは、変位に比例した復元力が働くことで正弦波状に振動する系で、物理学の最も基本的なモデルの一つです。
調和振動子(harmonic oscillator)とは、平衡位置からの変位 x に比例した復元力 F = −kx(フックの法則)が働く物理系の総称です。ばねにつながれた質点が最も典型的な例ですが、振り子の小振幅近似・分子の振動・電気回路の LC 振動など、自然界の至るところに現れます。
古典力学では、運動方程式 m(d²x/dt²) = −kx の解は x(t) = A cos(ωt + φ) という正弦波です。固有角振動数 ω = √(k/m) はばね定数と質量だけで決まり、振幅 A によらない(等時性)のが特徴です。
量子力学では、調和振動子のエネルギーは離散的な値しかとれません。
Eₙ = (n + 1/2) ℏω (n = 0, 1, 2, …)
最低エネルギー(ゼロ点エネルギー)が E₀ = ℏω/2 と0でないことは、不確定性原理の帰結であり、量子力学の重要な性質です。生成・消滅演算子(a†, a)を使った代数的解法は非常に強力で、場の量子論にも直接応用されます。
調和振動子が広く使われる理由は次のとおりです。
- ポテンシャルの極小付近は必ず調和ポテンシャルで近似できる
- 解析的に厳密解が求まる
- 摂動論の出発点として機能する
- フォノン・光子・磁気子など素励起の記述に使える
使い方・例文
分子の赤外吸収スペクトルを解釈するとき、原子間結合を調和振動子として近似することで、吸収波数と結合定数・原子質量の関係を定量的に説明できます。
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