葉緑体の細菌起源説とは?
ようりょくたいのさいきんきげんせつ
葉緑体の細菌起源説(一次共生説)とは、植物や藻類の葉緑体がかつてシアノバクテリアの祖先が細胞内に共生したことで生じたとする学説のことです。
葉緑体の細菌起源説(一次共生説、または葉緑体一次共生仮説)は、植物・藻類の細胞内に存在する葉緑体が、約15〜20億年前に原始的な真核細胞がシアノバクテリア(藍藻)の祖先を取り込み、細胞内共生関係を確立したことで進化したと説明する理論です。ミトコンドリアの起源を説明する共生説(α-プロテオバクテリア由来)とともに、真核細胞の進化を理解する上で中核的な学説となっています。
この学説を支持する証拠として以下が挙げられます。
- 葉緑体は自身のゲノム(環状DNAで細菌と同様の構造)を持つ
- 葉緑体はリボソーム(70S型)を持ち、細菌のリボソームと同型
- 葉緑体は二重膜で囲まれており、外膜は細胞内共生の名残とされる
- 葉緑体の光合成システムはシアノバクテリアのものと高い相同性を持つ
この説はリン・マーギュリスが1967年に論文として体系化し、DNAシーケンシング技術の発展によってその後分子生物学的にも強く支持されるようになりました。今日では、葉緑体の細菌起源はほぼ確立した科学的コンセンサスとなっています。また、一次共生後にさらに別の細胞が葉緑体を持つ生物を取り込んだ「二次共生」によって多様な藻類が生じたとする学説も展開されています。
使い方・例文
葉緑体が独自のDNAを持ち、細胞分裂とは別に自律的に増殖する現象は、かつて独立した細菌だった細菌起源説を裏付ける証拠の一つとして授業でも取り上げられます。
この用語をシェア
最終更新: