脂肪酸シンターゼとは?
しぼうさんしんたーぜ
脂肪酸シンターゼとは、アセチルCoAとマロニルCoAからパルミチン酸などの脂肪酸を合成する多機能酵素複合体で、体内の脂質合成の中心を担います。
脂肪酸シンターゼ(Fatty Acid Synthase、FAS、FASN)は、脂肪酸の生合成を担う酵素(複合体)です。アセチルCoAを起点とし、マロニルCoAを繰り返し付加・還元することで、炭素数16の飽和脂肪酸であるパルミチン酸(パルミテート)を主産物として合成します。
動物の脂肪酸シンターゼは1本のポリペプチド鎖に複数の触媒ドメインを持つ多機能タンパク質(I型FAS)で、次の機能ドメインが一体化しています。
- アシル転移酵素(AT)とマロニル転移酵素(MT):基質を酵素に結合させる。
- β-ケトアシルシンターゼ(KS):炭素鎖の縮合を触媒する。
- β-ケトアシル還元酵素(KR)、デヒドラターゼ(DH)、エノイル還元酵素(ER):順に還元・脱水・再還元を行い、炭素鎖を飽和させる。
- チオエステラーゼ(TE):完成した脂肪酸を遊離させる。
細菌や植物はII型FASを持ち、各触媒活性が独立したタンパク質として存在します。この違いは抗生物質の標的として注目されています。
がん研究においては、多くの悪性腫瘍でFASNが過剰発現することが知られており、腫瘍細胞の膜脂質産生や増殖を支える役割を果たしています。FASNを標的とした抗がん剤の開発が進められています。また肥満・糖尿病などの代謝疾患研究でも注目される酵素です。
使い方・例文
高カロリー食が続くと余剰のアセチルCoAが肝臓や脂肪組織の脂肪酸シンターゼによってパルミチン酸に変換され、中性脂肪として蓄積されます。肥満や脂肪肝のメカニズムを学ぶ文脈でよく登場する酵素です。
この用語をシェア
最終更新: