私小説とは?
しょうせつ
私小説とは、作者自身の実体験や内面を素材にして書かれた日本独特の小説形式のことです。
私小説(ししょうせつ・わたくししょうせつ)とは、作者自身の実際の体験や内面的な葛藤、日常生活を素材として書かれた小説のジャンルです。「I小説」とも呼ばれ、日本近代文学において独自の発展を遂げた文学形式として知られています。
私小説は明治末期から大正時代にかけて、ヨーロッパの自然主義文学の影響を受けながら形成されました。自然主義文学が人間の真実を客観的に描こうとしたのに対し、日本の私小説は作者の主観的な内面告白を中心に据えた点が特徴的です。田山花袋の「蒲団」(1907年)は私小説の先駆け的作品とされています。
私小説の特徴としては次のような点が挙げられます。
- 作者と語り手(主人公)がほぼ一致している
- 貧困・病気・家族関係・性愛など赤裸々な体験を告白的に描く
- フィクションよりも「真実性」「正直さ」が重視される
- 心境小説と呼ばれる穏やかな心理描写を中心とした作品群も含む
志賀直哉、葛西善蔵、嘉村礒多などが代表的な私小説作家として知られています。現代においても私小説的な手法は多くの作家に受け継がれており、自伝的小説やオートフィクションとして世界的に注目される流れとも共鳴しています。
使い方・例文
「この作品は作者の離婚体験をもとにした私小説だ」「日本文学には私小説の伝統が色濃く残っている」といった文脈で用いられます。
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