オートフィクションとは?
おーとふぃくしょん
オートフィクションとは、作家自身の実体験を素材にしながら、虚構の要素を交えて書かれた自伝的小説の形式です。
オートフィクション(autofiction)とは、作者自身の経験・記憶・感情を出発点としながら、同時に明示的に虚構(フィクション)の要素を取り込む文学形式です。純粋な自伝でも純粋な小説でもなく、その中間に意図的に位置する「自己についての虚構」と定義できます。
この概念はフランスの作家セルジュ・ドゥブロフスキーが1977年に発表した小説『息子』(Fils)において初めて明確に提唱されました。フィリップ・ルジューヌが「自伝的契約」(作者=語り手=主人公という一致)として定義した自伝の形式に対し、ドゥブロフスキーはその一致を認めながらも虚構性を宣言するという逆説的な立場をとりました。
オートフィクションの特徴として、以下が挙げられます。
- 主人公の名前が作者本人と同じかほぼ同じである
- 実際の出来事が改変・誇張・省略されている
- 真実と虚構の境界が意図的にぼかされている
- 自己分析や内省が物語の中核にある
カール・オーヴェ・クナウスゴールの『わが闘争』、エルノー・アニーの作品群など、現代ヨーロッパ文学においてオートフィクションは主要なジャンルとして定着しています。日本でも私小説との比較で論じられることが多く、両者の異同は文学研究の重要なテーマです。
使い方・例文
「この小説はオートフィクションで、主人公の名前こそ違うが、著者本人の離婚体験がほぼそのまま描かれている」といった形で、書評や文学賞の選評で使われます。
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