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断熱定理とは?

だんねつていり

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断熱定理とは、量子系のハミルトニアンをゆっくりと変化させると、系は瞬間的な固有状態に追従し続けるという量子力学の定理です。

断熱定理(Adiabatic theorem)は、量子力学における重要な定理で、系を記述するハミルトニアン(エネルギー演算子)が十分にゆっくりと時間変化する場合、量子状態はその瞬間のハミルトニアンの固有状態に追従し続けるというものです。マックス・ボルンとヴラジミール・フォックが1928年に厳密に定式化しました。

「断熱」という言葉は熱力学の断熱過程(熱のやり取りをしないゆっくりした変化)に由来しますが、量子力学での意味は少し異なります。ここでの断熱的とは、変化が「系の内部エネルギー差に比べて遅い」ことを指します。

断熱定理が成立する条件は、ハミルトニアンの時間変化のスケールが、異なる固有状態間のエネルギー差の逆数(遷移の典型的な時間スケール)よりも十分に長いことです。これを「断熱条件」と呼びます。逆に変化が速い場合には断熱近似が破れ、他の状態への遷移が起こります。

断熱定理の応用は幅広く、以下のような分野に使われています。

  • 断熱量子計算:ハミルトニアンをゆっくり変化させて基底状態に最適解を埋め込む量子コンピューティング手法
  • Berry位相(ベリー位相):断熱的サイクルの後に生じる幾何学的位相の理解
  • 核磁気共鳴(NMR):磁場を断熱的に変化させるパルス設計
  • 分子軌道のボルン-オッペンハイマー近似:核が電子より遅く動くことで断熱近似を適用

断熱定理は量子力学の基礎理論として重要であるだけでなく、現代の量子技術にも直接つながる実用的な定理です。

使い方・例文

量子コンピュータの設計において、ある問題の解を基底状態として埋め込み、ハミルトニアンをゆっくり変化させて解を得る「断熱量子計算」の原理として断熱定理が直接応用されます。

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