引き抜きとは?
ひきぬき
引き抜きとは、歌舞伎において舞台上で衣裳を素早く脱ぎ替え、別の衣裳姿に変身して見せる早変わりの技法のひとつです。
引き抜き(ひきぬき)は、歌舞伎で用いられる衣裳早変わりの技法のひとつです。着物の縫い目の一部を仮縫いにしておき、後見(黒衣)が舞台上でその糸を引き抜くと、上の着物がするりと脱げ落ち、下に着ていた別の衣裳が現れる仕組みになっています。
この技法は、物語の転換点や人物の変貌(たとえば善人が悪人の正体を現す場面や、妖怪・幽霊が本性を現す場面など)を視覚的に印象づけるために使われます。観客の目の前で一瞬にして別人のような姿に変わるため、歌舞伎の「見せ場(見どころ)」として大きな効果を発揮します。
早変わりの方法にはいくつかの種類があります。
- 引き抜き:後見が糸を引き抜き、上の着物を落とす方法
- ぶっかえり:上半身の衣裳を肩から脱ぎ、腰に巻いた状態にする方法
- 仕掛け衣裳:舞台装置や小道具を組み合わせた複合的な早変わり
引き抜きには高度な衣裳の縫製技術と後見の熟練した動きが必要です。演者と後見の息の合った連携によって、ほんの一瞬で衣裳が変わる鮮やかさが生まれます。歌舞伎の美意識と技術が凝縮された演出技法のひとつです。
使い方・例文
「女形が花魁から妖狐に引き抜きで変身する」といった舞台の見せ場を解説する際に、この技法の名称が使われます。
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