地球力学時とは?
ちきゅうりきがくじ
地球力学時とは、相対性理論に基づいて地球の重心を基準に定義された時刻系で、天体力学の計算に使われる座標時です。
地球力学時(Terrestrial Dynamical Time、略称 TDT、または後継の地球時 TT)は、天体力学の理論計算に使用するために国際天文学連合(IAU)が定義した時刻系です。地球の重心(地心)を基準として、一般相対性理論の効果を考慮しながら均一に刻む「座標時」の一種です。
天文学では、惑星・月・衛星の運動を計算する際に重力の影響を厳密に扱う必要があります。GPS や原子時計による世界協定時(UTC)は地球表面で測定されるため、重力ポテンシャルの影響を受けます。これに対し地球力学時は理論上の均一な時間スケールを提供し、惑星暦(エフェメリス)の作成や探査機の軌道計算に不可欠です。
時刻系の変遷を整理すると以下のとおりです。
- 暦表時(ET):1960年代まで用いられた天体力学の時刻系
- 地球力学時(TDT):1977年に IAU が定義。TAI(国際原子時)+32.184秒で定まる
- 地球時(TT):1991年以降 TDT の後継として使われる名称。数値的には TDT と同一
- 太陽系力学時(TDB):太陽系重心を基準にした姉妹時刻系で、相互変換式が存在する
地球力学時は一般ユーザーが日常で意識する時刻ではありませんが、惑星ミッションの設計・GPS 衛星の精密補正・相対性理論の検証実験など、最先端の宇宙科学や測地学において基礎的な役割を担っています。
使い方・例文
地球力学時は、惑星探査機の軌道計算や天体暦ソフトウェアの時刻変換処理、あるいは天文学の専門書で「座標時の一種」として登場します。一般の時刻とは数十秒程度の差しかありませんが、精密計算では無視できない重要な区別です。
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