モース理論とは?
もーすりろん
モース理論とは、微分可能な関数の臨界点を手がかりに、多様体のトポロジー(形の性質)を解明する数学の理論です。
モース理論(Morse theory)は、アメリカの数学者マーストン・モース(Marston Morse)が20世紀初頭に発展させた数学の一分野で、滑らかな多様体の位相的性質を、その上に定義された関数の臨界点(勾配がゼロになる点)の情報から読み取ります。
基本的な考え方は、多様体 M 上の滑らかな実数値関数 f を用意し、f の値の水準面がどのように変化するかを追跡することです。臨界点でない部分では多様体の形は連続的に変わりますが、臨界点を通過するときに「穴が開く」「ハンドルが付く」など位相的な変化が起きます。
モース理論の主な道具として、以下のものがあります。
- 臨界点のモース指数(ヘッセ行列の負の固有値の個数)
- モース不等式(臨界点の個数とベッチ数の関係を示す)
- モース複体(臨界点をつないで作る鎖複体)
応用として、多様体がどんなセル分割を持つかを臨界点から直接決定できます。また、ウィッテンによる量子力学的解釈を経てフロアホモロジーへと発展し、シンプレクティック幾何学や数理物理学にも大きな影響を与えています。
使い方・例文
ドーナツ型の曲面(トーラス)に高さ関数を定義すると、最下点・くびれ2点・最上点の計4つの臨界点が現れ、それぞれのモース指数からトーラスのホモロジーを計算できます。このように「関数の極値を数えるだけで形を分類できる」場面でモース理論が登場します。
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