ホメオティック遺伝子とは?
ほめおてぃっくいでんし
ホメオティック遺伝子とは、体の各部位が正しい位置に正しい構造を形成するよう指示する、発生の「マスタースイッチ」として働く調節遺伝子の総称です。
ホメオティック遺伝子(Homeotic Gene)とは、多細胞生物の発生過程において、体の各部位の「アイデンティティ」を決定する転写因子をコードする遺伝子群です。これらの遺伝子が正常に働くことで、頭は頭らしく、胸は胸らしく、腹は腹らしい構造が正しい位置に形成されます。
ホメオティック遺伝子はショウジョウバエの研究から詳しく解明されました。この遺伝子に突然変異が起きると、本来とは異なる部位に別の部位の構造が形成される劇的な変化(ホメオシス)が起こります。例えば、触角が生えるべき場所に脚が生えたり(アンテナペディア突然変異)、胸部の変形で翅が倍になったりします。
ホメオティック遺伝子が持つ共通の特徴は「ホメオボックス」と呼ばれる約180塩基対のDNA配列で、これがコードする「ホメオドメイン」というタンパク質領域がDNAに結合して標的遺伝子の発現を制御します。驚くべきことに、ホメオボックスを持つHox遺伝子は昆虫から哺乳類まで広く保存されており、染色体上での遺伝子の並び順が体の前後軸に対応するという規則性(共線性)も保たれています。
- ショウジョウバエのHOM-C(ホメオティック複合体)
- 哺乳類のHox遺伝子群(4つのクラスター:HoxA〜D)
- 植物のMADS-boxを含む花の器官形成遺伝子
ホメオティック遺伝子の発見はエドワード・ルイスらに帰せられ、1995年のノーベル生理学・医学賞受賞につながりました。発生生物学の根本的な理解を変えた重要な概念です。
使い方・例文
マウスのHox遺伝子を操作すると、本来は腰椎になる脊椎骨が胸椎の性質をもつようになることがあり、ホメオティック遺伝子が脊椎の各部位の形成を制御していることが示されています。
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