バリスティック輸送とは?
ばりすてぃっくゆそう
電子が散乱を受けずに弾道的に移動する量子効果の輸送現象で、ナノスケールの導体で観察されます。
バリスティック輸送とは、電子が導体内を移動する際に不純物や格子振動(フォノン)による散乱をほとんど受けずに、まるで弾丸(バリスティック)のように直進する電荷輸送の様式です。
通常の金属や半導体では、電子は絶えず原子や不純物と衝突しながら移動します。この散乱が電気抵抗の原因となります。しかし、導体の長さが電子の平均自由行程(散乱なしに進める平均距離)より短くなると、電子は端から端まで散乱なしに通過でき、バリスティック輸送が実現します。
この現象が観察される条件は以下のとおりです。
- 導体の長さがナノメートルスケールであること
- 温度が低く、熱的な散乱が抑えられていること
- 試料の純度が高いこと
バリスティック輸送が起きると、コンダクタンス(電気の通しやすさ)が量子化され、コンダクタンス量子(2e²/h)の整数倍の値をとります。これは量子点接触素子などで実験的に確認されています。
この現象はナノエレクトロニクスや量子コンピュータの研究において重要で、従来の電気抵抗の概念が通用しない超高速・低消費電力デバイスの実現に向けた基盤技術として注目されています。
使い方・例文
カーボンナノチューブや二次元電子ガス(2DEG)を用いた実験では、バリスティック輸送によりコンダクタンスが量子化される様子が観測されます。
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