ハット行列とは?
はっとぎょうれつ
線形回帰において、実測値ベクトルを予測値ベクトルに変換する射影行列で、各データ点の影響力の診断に用いられます。
ハット行列(hat matrix)は、線形回帰モデルの文脈で登場する正方行列で、観測値ベクトル y に左から掛けると予測値ベクトル ŷ(「y ハット」)が得られることから、この名が付けられました。
計算式は H = X(X'X)⁻¹X' で定義され、Xは計画行列(説明変数の行列)を表します。この行列は射影行列(idempotent matrix)の性質を持ち、H² = H および H' = H が成り立ちます。
ハット行列の対角要素 h_ii(レバレッジ値)は特に重要で、0から1の値をとり、そのデータ点が予測値全体に与える影響の大きさを示します。
- h_ii が大きいほど、そのデータ点は回帰直線を大きく引き寄せる「てこ点(leverage point)」
- h_ii の総和はモデルのパラメータ数(切片含む)に等しい
- 一般に h_ii > 2p/n(p:パラメータ数、n:サンプル数)を目安に異常な影響点を検出する
回帰診断においては、標準化残差やクックの距離などの指標を計算する際にもハット行列が用いられ、外れ値や影響の大きい観測値を特定してモデルの信頼性を評価するのに役立ちます。
使い方・例文
多変量回帰分析の診断工程で、各サンプルのレバレッジ値(ハット行列の対角成分)を計算し、モデルに異常な影響を与えるデータ点を特定する場面で使われます。
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