逆転写酵素とは?
ぎゃくてんしゃこうそ
RNAを鋳型にDNAを合成するウイルス由来の酵素で、レトロウイルスの増殖と分子生物学研究の両方で重要です。
逆転写酵素(reverse transcriptase、RT)は、RNA配列を鋳型としてDNAを合成する酵素です。通常の「DNA→RNA」という転写の流れとは逆方向に情報を伝達するため「逆転写」と呼ばれます。
逆転写酵素はレトロウイルス(HIVなど)が持つ酵素で、ウイルスが宿主細胞に感染した後、ウイルスゲノムRNA(ssRNA)を相補的DNA(cDNA)に変換します。生成されたcDNAはさらに二本鎖DNAになり、宿主の染色体に組み込まれて潜伏感染の基盤となります。逆転写酵素はRNAを鋳型とするDNA合成活性に加え、RNA/DNAハイブリッドのRNA鎖を分解するRNase H活性も持ちます。
HIV感染症の治療薬として開発された核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTIs)や非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTIs)は、この酵素の働きを妨げることでウイルスの増殖を抑えます。
また、分子生物学の実験において、mRNAからcDNAを合成するRT-PCR法や遺伝子クローニングに逆転写酵素は欠かせないツールです。遺伝子発現解析や診断技術(COVID-19検査でのRT-PCRなど)にも広く応用されています。
使い方・例文
HIV治療薬の作用機序を学ぶ授業や、RT-PCRを使ったウイルス検査の仕組みを解説する場面で必ず登場する酵素です。
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