脱文とは?
だつぶん
脱文とは、文書や写本を書き写す際に、書写者が誤って文章の一部を書き漏らしてしまった箇所のことです。
脱文(だつぶん)とは、書物や文書の写本・印刷の過程で、本来あるべき文章の一部または全文が誤って省略・脱落してしまった箇所を指します。同様の現象を「脱落(だつらく)」とも呼びます。
脱文が生じる主な原因として、以下が挙げられます。
- ホモイオテレウトン:同じ語句・文字が近くに繰り返される場合に、書写者の目が滑って一方を飛ばしてしまう現象
- 注意散漫:長時間の書写作業による疲労や集中力の低下
- 原本の状態:底本が汚損・判読困難なため読み飛ばされる
- 意図的省略の誤認:繰り返しや常套句を不要と判断して省くケース
文献学において脱文の発見と復元は重要な作業です。複数の写本を比較対照することで脱文箇所を特定し、より完全な本文を再構成することができます。脱文が一か所だけでなく系統的に特定の写本群に見られる場合は、それらが同じ「祖本」から派生したことを示す証拠にもなります。
脱文には「行脱」(一行丸ごと抜ける)や「字脱」(一字〜数字が抜ける)などの種類があります。校訂本では脱文箇所を〔 〕や角括弧で示したり、補った文字を明記したりして読者に脱落の事実を伝えることが一般的です。
使い方・例文
同じ語句が二行にわたって繰り返される箇所で書写者の目が滑り、一行分の文章が丸ごと脱落してしまうことが脱文の典型的な例です。
この用語をシェア
最終更新: