浸炭鋼とは?
しんたんこう
浸炭鋼とは、低炭素鋼の表面に炭素を浸透・拡散させる浸炭処理を施した鋼材で、表面の硬さと内部の靭性を両立させた機械部品用素材です。
浸炭鋼とは、炭素含有量が少ない低炭素鋼(一般に炭素量0.1〜0.3%程度)に対して「浸炭」と呼ばれる熱処理を施した鋼材の総称です。浸炭処理では、鋼を炭素を供給できる雰囲気(浸炭剤)中で高温(通常900〜950℃程度)に加熱し、表面から炭素を浸透・拡散させます。その後、焼き入れ・焼き戻しを行うことで、表面は高炭素の硬い組織(マルテンサイト)に、内部は元の低炭素で靭性の高い組織のまま保つことができます。
この「表面硬・内部粘り」という性質の組み合わせは、単一材料ではなかなか得られません。高炭素鋼は全体が硬く脆くなり衝撃に弱い一方、低炭素鋼では表面も軟らかく摩耗しやすいという欠点があります。浸炭鋼はこの両方の欠点を克服した材料といえます。
浸炭方法には主に次の種類があります。
- ガス浸炭:メタン・プロパン等の炭化水素ガスを使う最も一般的な方法
- 固体浸炭:木炭などの固体浸炭剤を使う古典的な方法
- 液体浸炭(塩浴浸炭):シアン化物塩浴を使用する方法
- 真空浸炭:低圧下で浸炭する精密部品向けの方法
歯車、シャフト、カムシャフト、ベアリング、ピン類など、摩耗と衝撃の両方にさらされる機械部品に広く用いられ、自動車・建設機械・工作機械の分野で不可欠な素材技術となっています。
使い方・例文
「自動車のトランスミッション歯車には浸炭鋼が用いられ、表面の高硬度で歯面の摩耗を抑えつつ、芯部の靭性で衝撃荷重を受け止める。」
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