スル・タストとは?
するたすと
スル・タストとは、弓奏弦楽器において指板の上(またはその近く)を弓で弾く奏法で、柔らかく霞がかったような特徴的な音色が得られます。
スル・タスト(sul tasto)はイタリア語で「指板の上で」を意味する弦楽器の奏法指示です。バイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバスなどの弓奏弦楽器において、通常の弓を当てる位置(駒と指板の中間)より指板(フィンガーボード)寄りに弓を近づけて演奏します。
スル・タストで弾くと、弦のテンションが低くなる部分を弓が通過するため、音の特性が大きく変わります。
- 柔らかく、霞がかった音色(フルートやフラジオレットに例えられることもある)
- 倍音が少なく、芯のない浮遊感のある響き
- 音量はやや小さくなりがち
- 暖かみのある、夢幻的なサウンド
逆の奏法はスル・ポンティチェッロ(sul ponticello)で、駒(ブリッジ)のすぐ近くで弾き、金属的でざらついた音色を出します。この二つは対照的な音色表現として作曲家が書き分け、演奏者は楽譜の指示に従い弓の位置を移動させます。
クラシック音楽では、印象主義的な作品や近現代音楽で特に多用されます。ドビュッシーやラヴェル、バルトークなどの弦楽作品にスル・タストの指定が見られます。アンサンブルでは弦楽パート全体にかかることが多く、管楽器と混ぜてテクスチャーを変化させる効果的な手段です。
使い方・例文
弦楽四重奏の演奏会で奏者が弓を指板の上に移動させながら弾く場面があれば、それがスル・タストの奏法です。作曲・編曲の解説や弦楽器レッスンの教本で、音色の変化を示す奏法として解説されます。
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