インスリンシグナル伝達とは?
いんすりんしぐなるでんたつ
インスリンが細胞表面の受容体に結合してから、糖の取り込みや代謝調節といった生理応答を引き起こすまでの一連の細胞内情報伝達経路のことです。
インスリンシグナル伝達とは、膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」が細胞に指令を届けるための分子レベルの仕組みです。血糖値が上昇すると膵β細胞からインスリンが分泌され、標的細胞(筋肉・脂肪・肝臓など)の表面にあるインスリン受容体(IR)に結合することで伝達が始まります。
受容体はチロシンキナーゼ活性をもち、自己リン酸化した後にIRS(インスリン受容体基質)タンパク質をリン酸化します。これが引き金となり、主に二つの経路が活性化します。
- PI3K-Akt経路:グルコーストランスポーター(GLUT4)を細胞膜へ移動させ、糖の取り込みを促進します。
- Ras-MAPK経路:細胞増殖や遺伝子発現の調節に関わります。
この伝達が正常に機能すれば血糖値は速やかに低下しますが、肥満や慢性炎症などによって経路のどこかに障害が生じると「インスリン抵抗性」となり、2型糖尿病の発症につながります。シグナル伝達の各ステップは創薬ターゲットとして広く研究されており、メトホルミンや新世代の糖尿病治療薬の作用点もこの経路上にあります。
使い方・例文
血糖値が食後に上昇すると、インスリンシグナル伝達によって筋肉細胞がグルコースを取り込み、血糖値を正常範囲に戻す反応が起こります。2型糖尿病の研究や治療薬開発の文脈でよく登場する語です。
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