べき零群とは?
べきれいぐん
べき零群とは、交換子を繰り返し取る操作によって有限ステップで自明群に達するという性質を持つ群のことです。
べき零群(nilpotent group、冪零群とも表記)とは、群論における重要な概念で、群の降中心列(lower central series)が有限ステップで自明群(単位元だけからなる群)に到達する群を指します。
降中心列は次のように定義されます。G₀ = G、G₁ = [G, G](交換子群)、G₂ = [G₁, G]、…と順に交換子を取る操作を繰り返し、ある有限の n で Gₙ = {e}(e は単位元)になるとき、G はべき零群であるといいます。この n の最小値を群のべき零類(nilpotency class)と呼びます。
べき零群の主な性質と例を挙げます。
- アーベル群(可換群)はすべてべき零群であり、べき零類 1 に相当する
- 有限 p 群(位数が素数の冪の群)はすべてべき零群になる
- ハイゼンベルク群(上三角行列の群の一種)は最も基本的な非可換べき零群の例
- べき零群は可解群(solvable group)の特殊な場合にあたる
べき零群の理論は有限群の分類・表現論・リー群論・暗号理論(非可換群を用いた公開鍵暗号)などと深く関連しています。また物理学では、べき零リー代数との対応を通じて対称性の記述に用いられます。
使い方・例文
べき零群は群論・代数学の理論的文脈で登場します。「有限 p 群はべき零群であるから、そのシロー部分群の構造を利用して…」「このリー群のリー代数はべき零なので、指数写像が全射になる」などの議論で使われます。
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