本文へスキップ

非弾性散乱とは?

ひだんせいさんらん

弾性散乱とは、粒子や波が物質と衝突する際に運動エネルギーが保存されず、エネルギーの一部が内部エネルギーとして変換される散乱現象です。

弾性散乱とは、粒子(電子中性子光子など)が物質中の原子分子・核と相互作用するとき、衝突前後で系全体の運動エネルギーが変化する散乱過程を指します。対義語は弾性散乱で、弾性散乱ではエネルギーが保存されますが、非弾性散乱ではエネルギーが振動・回転・電子励起・核励起などの内部エネルギーに変換されます。

代表的な非弾性散乱には以下があります。

  • ラマン散乱:光子が分子の振動モードとエネルギーをやりとりし、入射光と異なる波長の光が散乱される現象。物質の同定に利用される。
  • コンプトン散乱:X線や γ 線の光子が電子と衝突してエネルギーを失い波長が長くなる現象。
  • 非弾性中性子散乱:中性子が格子振動(フォノン)や磁気励起とエネルギー交換する過程。物質の動的構造解析に用いられる。
  • 非弾性電子散乱:電子が固体表面の振動や電子励起にエネルギーを渡す過程。表面分析に活用。

非弾性散乱は、物質内部のエネルギー構造・振動状態・磁気状態を探る強力な分析手法として基礎科学・材料科学に広く用いられています。散乱によるエネルギー損失(エネルギー移行量)を測定することで、物質の格子ダイナミクスや電子状態を詳細に解明できます。

使い方・例文

ラマン分光法は非弾性散乱の一種を利用した技術で、物質にレーザーを当てて散乱光を分析することで、材料の化学構造や結晶性を非破壊で調べることができます。

この用語をシェア

𝕏 でポスト LINE

最終更新:

関連用語