遺伝的浮動とは?
いでんてきふどう
遺伝的浮動とは、集団の世代交代の際に偶然の誤差によって遺伝子頻度が変動する現象のことです。
遺伝的浮動とは、生物集団内で対立遺伝子(アレル)の頻度が、自然選択ではなく「偶然」によって変化する現象です。英語では「genetic drift」と呼ばれます。個体数が少ない集団では、どの個体が次世代に子孫を残すかが確率的なばらつきを持つため、世代を経るにつれて特定のアレルが集団から消失したり、逆に固定(頻度100%)されたりすることがあります。
遺伝的浮動の影響が特に顕著になる状況として、以下の2つが知られています。
- ボトルネック効果:大規模な災害や疾病などで集団サイズが急激に縮小した後、残った少数の個体が新たな集団を形成するケース
- 創始者効果:少数の個体が本来の集団から分離して新たな生息地に移住し、そこから集団を再建するケース
これらの状況では、元の集団に存在していたアレルの多様性が失われ、遺伝的多様性が著しく低下します。チーターが世界的に遺伝的多様性が低いことや、島嶼(とうしょ)集団で特定の遺伝病が多い例は、創始者効果・ボトルネック効果による遺伝的浮動の結果とされています。
進化の観点では、遺伝的浮動は自然選択と並ぶ主要な進化メカニズムの一つです。小集団では有利な変異が消え、中立な変異が固定されやすいため、遺伝的浮動は進化速度や種分化にも大きく関わります。
使い方・例文
「孤島に渡った少数の個体から増えた集団は、遺伝的浮動により元の大陸集団とは異なる遺伝子頻度を持つようになった」というように、進化生物学や保全遺伝学の文脈で使われます。
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