本歌取りとは?
ほんかどり
本歌取りとは、和歌の技法のひとつで、古典の著名な和歌(本歌)の語句や情趣を意図的に引用・踏まえて新たな歌を詠む表現手法です。
本歌取り(ほんかどり)は、平安時代後期から発達した和歌の修辞技法で、すでに広く知られた古典の秀歌(本歌)の語句・意象・情趣を新作の歌の中に意識的に取り込むことで、より深みのある表現を生み出す手法です。単なる模倣ではなく、本歌の世界観を背景として活かしながら新たな意味や感情を付け加えることに本質があります。
本歌取りが盛んになったのは平安末期から鎌倉時代にかけてで、藤原俊成・藤原定家父子が理論化・実践化に大きく貢献しました。定家の代表歌集『新古今和歌集』には本歌取りの技法を駆使した秀歌が多数収録されており、この集の和歌が後世への本歌の宝庫ともなりました。
本歌取りを行う際の主な約束事(歌論上のルール)として、次のようなことが重視されました。
- 本歌は『万葉集』『古今和歌集』『後撰和歌集』などの勅撰集から選ぶのが原則です。
- 本歌の語句を2〜3語程度引用するのが一般的で、丸ごと写すことは避けます。
- 本歌をただ繰り返すのではなく、新しい情景や感情を加えて独自の世界を生み出すことが求められます。
現代においても本歌取りの発想は短歌・俳句・詩に引き継がれており、先行作品への敬意と創造性を組み合わせた表現技法として高く評価されています。
使い方・例文
「『万葉集』の名歌を本歌取りして詠んだ新しい和歌は、読む人に古典の記憶を呼び起こしながら、作者独自の新たな感動を伝えることができます。」
この用語をシェア
最終更新: