打出しとは?
うちだし
打出しとは、金属板の裏面から叩いて表面に立体的な模様や形を浮かび上がらせる伝統的な金工技法です。
打出し(うちだし)とは、金・銀・銅・真鍮などの金属板を裏側から専用の金槌や当て金(アテガネ)を使って叩き、表面に凸状の模様や立体形状を作り出す伝統的な金工技法です。英語では「リポッセ(repoussé)」と呼ばれ、フランス語由来の呼称として国際的に通用しています。
打出しの工程は、大まかに以下のように進みます。
- 下絵転写:金属板に図案を写し取る。
- タガネ・槌による打出し:鉛板やピッチ(松脂と充填材の混合物)を台座として金属板を固定し、裏面から叩いて模様を浮かせる。
- 表面からの仕上げ彫り(線彫り):表に返して細部を整え、輪郭を明確にする。
- 焼き鈍し(アニーリング):加工による金属の硬化を和らげるため、適宜加熱して軟化させる。
打出し技法は古代エジプトや古代ギリシャの遺物にも見られる非常に古い技法で、ツタンカーメンの黄金マスクにも用いられています。日本では平安時代以降に仏具・鎧の装飾・茶道具などに広く活用され、江戸時代の金工職人によって高度に発展しました。現代でも伝統工芸の分野で受け継がれており、銅製の食器や装飾品の制作に用いられています。
使い方・例文
仏壇の金色に輝く荘厳具(花瓶や香炉の表面装飾)や、漆器・甲冑の金具に施された浮き彫り状の模様が打出しの代表例です。美術館の金工コーナーでも、奈良・平安期の鏡や装飾品に打出しの跡を見ることができます。
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