定本とは?
ていほん
定本とは、作品の本文を校訂・確定した決定版の書物であり、研究や引用の基準とされる信頼性の高いテキストです。
定本(ていほん)とは、ある著作物について、複数の版本・写本・草稿などを比較・校訂し、最も正確で権威ある本文を確定した書物のことです。「決定版」「校定本」ともほぼ同義で使われ、学術研究や文献引用の際の基準テキストとなります。
定本が必要とされる背景として、文学作品や古典籍には写本の段階で生じた誤字・脱字、出版時の修正、作者自身による改稿など、複数の異なるテキストが存在することがあります。このため研究者がどのテキストに依拠して論じるかを明確にするための「基準」として、定本が整備されてきました。
定本の作成プロセスは「校勘(こうかん)」と呼ばれ、
- 現存するすべての版本・写本の収集
- 各本文の異同(異なる箇所)の比較・記録
- 作者の意図や文献学的考証に基づく本文の確定
- 校異注記(どの版と何が異なるか)の付記
代表的な例として、日本文学では『定本 漱石全集』『定本 柳田国男集』などが研究者の標準テキストとして参照されます。また近現代の著作でも、作者が生前に改稿を重ねた場合、最終稿を定本とする場合と初出稿を定本とする場合で研究者間に議論が生じることもあります。
使い方・例文
夏目漱石の作品を論文で引用する際、複数の出版社から異なる版が出ていますが、岩波書店の『漱石全集』を定本として底本を明記することで、引用箇所の信頼性と再現可能性が担保されます。
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