主値積分とは?
しゅちせきぶん
主値積分とは、通常の意味では発散してしまう積分を、対称的な極限を取ることで有限の値として定義する数学的手法です。
主値積分(しゅちせきぶん、英: principal value integral)とは、通常のリーマン積分やルベーグ積分では定義できない「発散する積分」に対して、積分範囲を特異点の周りで対称的に除いた形で極限を取ることにより、有限の値を割り当てる方法です。コーシーの主値(略記: P.V. またはP)とも呼ばれます。
最もよく使われる形は、実数上の積分で被積分関数が点 c において特異点(極)を持つ場合です。このとき
P.V. ∫ f(x)dx = lim[ε→0+] { ∫_{-∞}^{c-ε} f(x)dx + ∫_{c+ε}^{∞} f(x)dx }
のように、特異点の左右を対称的に近づけた極限として定義します。通常の広義積分では左右それぞれの極限が存在しなくても、対称的に取ることで相殺されて有限値になる場合があります。
主値積分が重要な場面には次のものがあります。
- 複素解析における留数定理の応用で実積分を計算する際
- フーリエ変換・ラプラス変換での特異核を含む積分
- 電磁気学や量子力学における発散の正則化
- ヒルベルト変換の定義(信号処理・通信工学で重要)
主値積分は単なる計算手法にとどまらず、分布論(超関数論)の文脈でも厳密に定式化されており、現代数学・物理学において不可欠な道具です。
使い方・例文
P.V. ∫_{-1}^{1} (1/x) dx は通常の積分では ±∞ になりますが、主値を取ると対称性から0になります。ヒルベルト変換の計算でこのような主値積分が登場します。
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