ルサンチマンとは?
るさんちまん
ルサンチマンとは、自分より強い者への怒りや恨みを内面に抑圧し、価値観を転倒させることで自己を正当化しようとする心理・態度のことです。
ルサンチマン(ressentiment)は、フランス語で「怨恨・恨み」を意味する言葉ですが、哲学・社会思想の文脈では特殊な意味を持ちます。19世紀ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが著作『道徳の系譜』(1887年)において体系的に論じたことで広く知られるようになりました。
ニーチェの定義によれば、ルサンチマンとは自分より力のある者・優れた者に対する妬みや憎しみを直接行動で発散できず、内面に抑圧した状態で生じる感情です。重要なのはその後の展開で、抑圧された恨みは「価値の転倒」をもたらします。すなわち、強者・優者を「悪」と見なし、弱者・劣者である自分たちを「善」と再定義することで、自己の低い立場を心理的に正当化しようとします。
ニーチェはこれをキリスト教道徳の成立とも関連づけ、支配される側の弱者が作り上げた道徳体系をルサンチマンの産物として批判的に論じました。この概念はその後、社会学・心理学・政治思想など幅広い分野に応用されています。
- 社会階層間の嫉妬・敵意の分析
- 民族主義・ポピュリズムの心理的背景の説明
- 職場や集団内での陰湿な排除行動の解釈
現代においてルサンチマンは、SNS上の誹謗中傷や、成功者への集団的バッシングの心理的メカニズムを説明する概念としてしばしば参照されます。自己の無力感を他者の否定によって解消しようとする心理の典型例として理解されています。
使い方・例文
「自分が出世できないのは上司が自分の才能を妬んでいるからだ」と思い込み、職場の権威者全般を批判し続ける態度は、ルサンチマンの典型として語られることがあります。
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