リー代数とは?
りーだいすう
リー代数とは、ベクトル空間にブラケット積と呼ばれる演算を備えた代数的構造で、連続的な対称性(リー群)を研究するための数学的道具です。
リー代数(Lie algebra)は、ノルウェーの数学者ソフス・リー(Sophus Lie)が19世紀に対称変換の研究を通じて導入した代数的構造です。ベクトル空間に「ブラケット積」[x, y] という演算が定義されており、次の性質を満たします。
- 双線形性:演算が各引数について線形
- 反対称性:[x, y] = -[y, x]
- ヤコビ恒等式:[x,[y,z]]+[y,[z,x]]+[z,[x,y]]=0
リー代数の最も重要な役割は、リー群(滑らかな群構造を持つ多様体)の「線形化」です。リー群は連続的な対称性を表しますが、扱いが難しいため、単位元のまわりの接空間(これがリー代数)でその局所的な情報を捉えます。リー群とリー代数は対応関係にあり、群の積の情報がブラケット積として反映されます。
具体的なリー代数の例としては、正方行列の空間に交換子積 [A,B]=AB-BA を入れたものがあります(一般線形リー代数 gl_n)。特殊ユニタリ群 SU(2) のリー代数は物理学の角運動量代数と同型であり、量子力学・素粒子物理学で頻繁に使われます。
現代では微分幾何学、数理物理学、表現論、そして素粒子の標準模型(ゲージ理論)の基礎として不可欠な概念です。
使い方・例文
電子のスピンを記述するパウリ行列 σ_x, σ_y, σ_z のブラケット関係式は SU(2) のリー代数の交換関係そのものであり、物理の教科書でリー代数の具体例として登場します。
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