コーシー列とは?
こーしーれつ
コーシー列とは、数列の項が進むにつれて互いに限りなく近づいていく数列のことで、数学的収束の厳密な定義に用いられます。
コーシー列(Cauchy sequence)とは、数列の各項が十分に先へ進んだとき、任意の2項の距離がいくらでも小さくなるという性質を持つ数列のことです。19世紀のフランスの数学者オーギュスタン=ルイ・コーシーにちなんで命名されました。
厳密には、任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在し、n・m がともにNより大きければ |a_n - a_m| < ε が成り立つとき、数列 {a_n} をコーシー列と呼びます。直感的には「項が進めば進むほど、どの2項も限りなく近くなる」ということを意味します。
コーシー列の重要な特徴として、実数の完備性との関係があります。実数の空間(完備距離空間)では、コーシー列は必ず収束します。これを完備性の定理といいます。一方、有理数の空間ではコーシー列が収束しない場合があり(例:√2 に近づく有理数の列)、これが実数の概念を導入する動機のひとつになりました。
コーシー列の概念は、解析学・位相数学・関数解析など幅広い分野の基礎をなしており、バナッハ空間やヒルベルト空間の定義にも登場します。極限の存在を直接確認せずに収束性を議論できる点が大きな強みです。
使い方・例文
有理数の列 1, 1.4, 1.41, 1.414, 1.4142, … は項同士の差がどんどん小さくなるコーシー列ですが、有理数の範囲内では √2 という極限が存在しないため、「コーシー列だが有理数の中では収束しない」例として教科書に頻出します。
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