グリコシルホスファチジルイノシトールとは?
ぐりこしるほすふぁちじるいのしとーる
グリコシルホスファチジルイノシトールとは、多くのタンパク質を細胞膜外側へと固定するために使われる脂質性のアンカー構造です。
グリコシルホスファチジルイノシトール(Glycosylphosphatidylinositol、GPI)は、イノシトール・グルコサミン・マンノースなどの糖鎖とホスファチジルイノシトール(リン脂質)が結合した複合糖脂質です。多くの真核生物の細胞膜の外葉に存在し、特定のタンパク質のC末端に共有結合してそれらを細胞膜に係留する「GPIアンカー」として機能します。
GPIアンカーの構造は以下の構成要素からなります。
- タンパク質C末端のアミノ酸(シグナル配列で認識される)
- エタノールアミンリン酸(架橋部分)
- コアとなる三糖(マンノース3個)とグルコサミン
- イノシトールリン酸に連結したジアシルグリセロール(脂質部分)
GPI合成はERにおいて行われ、合成されたGPIアンカータンパク質はラフト(コレステロール・スフィンゴ脂質リッチな膜ドメイン)に集積しやすい性質を持ちます。ホスホリパーゼCなどの酵素によって切断・遊離されることもあり、細胞間シグナルの調節に関与することが知られています。
臨床的には、GPIアンカー合成の遺伝子(PIGAなど)に体細胞変異が生じると血球のGPIアンカータンパク質が欠損し、発作性夜間血色素尿症(PNH)を引き起こします。これはGPIアンカー異常による代表的な疾患です。
使い方・例文
赤血球や白血球の表面に存在するCD55・CD59はGPIアンカーで膜に固定されており、これらが欠損すると補体による細胞破壊(溶血)が制御できなくなり、発作性夜間血色素尿症が発症します。
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