キヤースとは?
きやーす
キヤースとは、イスラム法学において、クルアーンやスンナに明示的な規定がない問題を、類似する既存の事例に照らして類推解釈する法的推論の手法のことです。
キヤース(アラビア語:قياس)は、イスラム法(シャリーア)の四大法源のひとつとされる法的推論の方法です。「類推」または「比較類推」とも訳されます。
イスラム法の根拠となる文献は、クルアーン(聖典)、スンナ(預言者の言行録ハディース)、イジュマー(法学者の合意)の順に優先されますが、これらに明確な規定がない新しい問題に直面したとき、キヤースによって解決が図られます。
キヤースの基本的な構造は以下の通りです。
- 原則(アスル):既に規定がある元となる事例
- 新事例(ファルウ):解決が求められる新たな問題
- 法的根拠(イッラ):両者を結びつける共通の理由・原因
- 判決(フクム):元の事例から導かれる結論を適用する
たとえば、クルアーンはブドウ酒(ハムル)を禁じていますが、現代のアルコール飲料についてもキヤースによって「酩酊をもたらす」という共通の理由(イッラ)から同様に禁じられると解釈されます。
スンニ派の主要な四法学派(ハナフィー・マーリキー・シャーフィイー・ハンバリー)はいずれもキヤースを認めますが、その適用範囲や方法については各派で異なります。イスラム法学の発展において、キヤースは古典から現代まで重要な役割を果たし続けています。
使い方・例文
クルアーンで明確に禁じられていない新しい種類の薬物や行為に対して、イスラム法学者が既存の禁令と共通する理由を見つけて同様の判断を下す際に、キヤースの手法が適用されます。
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