本文へスキップ

鉄絵とは?

てつえ

鉄絵とは、酸化鉄を主成分とする顔料を用いて陶磁器の素地に文様を描き、釉薬をかけて焼成する陶芸の絵付け技法のことです。

鉄絵(てつえ)は、酸化鉄(Fe₂O₃など)を含む顔料を水や媒材で溶いて、陶磁器の素地(生地)または素焼きした器の表面に筆で文様を描く絵付け技法です。その上から透明や半透明の釉薬をかけて高温で焼成すると、鉄分が茶褐色〜黒褐色に発色し、独特の落ち着いた色調の文様が浮かび上がります。

鉄絵の技法は中国宋代の磁州窯に起源をもち、日本へは中世に伝来したとされます。日本では各地の窯場で独自の発展を遂げ、以下のような名産地が知られます。

  • 唐津焼(佐賀県):絵唐津として知られる草花・魚などの素朴な意匠
  • 美濃焼(岐阜県):織部や黄瀬戸など茶陶にも多く用いられる
  • 信楽焼(滋賀県):鉄釉との組み合わせによる渋みある表現

使われる顔料は「鬼板(おにいた)」と呼ばれる天然の鉄分が豊富な土石が代表的です。焼成温度や還元・酸化焼成の違いによって仕上がりの色合いが変わるため、陶芸家の技量と窯の管理が重要となります。

鉄絵は染付(コバルトブルー)と並んで日本の陶芸における代表的な絵付け技法であり、侘び・さびの美意識とも深く結びついた表現として現在も多くの陶芸家に受け継がれています。

使い方・例文

茶碗や徳利に鉄絵で草花の文様を施した唐津焼は、茶道具として古くから珍重されており、民藝的な温かみと土の表情が魅力とされています。

この用語をシェア

𝕏 でポスト LINE

最終更新:

関連用語