温室効果ガス排出量取引制度とは?
おんしつこうかがすはいしゅつりょうとりひきせいど
温室効果ガス排出量取引制度とは、企業などに排出枠を設定し、余剰・不足を市場で売買することで効率的にCO2削減を実現する仕組みです。
温室効果ガス排出量取引制度(Emissions Trading System、ETS)とは、政府が企業や産業部門に対して温室効果ガスの排出上限(キャップ)を設定し、その枠を市場で売買させることによって、社会全体の排出削減を経済的に効率よく達成しようとする政策手段です。「キャップ・アンド・トレード」とも呼ばれます。
仕組みの基本は次のとおりです。規制当局がまず各事業者に排出枠(クレジット)を配分します。実際の排出量が枠より少ない企業は余剰クレジットを売却でき、逆に超過した企業は市場でクレジットを購入して相殺しなければなりません。これにより削減コストの低い事業者がより多く削減し、高い事業者は購入でコストを調整するという経済合理性が働きます。
代表的な制度として、EU排出量取引制度(EU-ETS)が2005年に始まり、電力・重工業など主要排出源を対象に世界最大規模で運営されています。日本では東京都と埼玉県が独自のキャップ・アンド・トレード制度を導入しており、国レベルでもカーボンプライシングの議論が進んでいます。
制度の効果と課題は以下のように整理できます。
- 市場原理を活用するため、規制よりも低コストで削減が期待できる
- 排出枠の設定水準が緩いと削減効果が薄れる
- クレジット価格の変動が企業経営に不確実性をもたらす
- 国際的な整合性がないと「炭素漏れ」(生産拠点の海外移転)が起きうる
気候変動対策の主要ツールとして、炭素税と並んで世界各地で導入が進んでいます。
使い方・例文
電力会社が設備更新によりCO2排出量を削減し、余った排出枠を製鉄会社に売却する、という取引が温室効果ガス排出量取引制度の典型的な場面です。
この用語をシェア
最終更新: