多相抽出とは?
たそうちゅうしゅつ
多相抽出とは、互いに混合しない複数の液相や固相を用いて、目的成分を選択的に分離・濃縮する抽出技術の総称です。
多相抽出とは、化学的性質が異なる複数の相(液体-液体、固体-液体など)を利用して、試料混合物から目的成分を選択的に分配・分離する操作の総称を指します。試料の前処理・精製・濃縮の場面で広く用いられる技術です。
代表的な多相抽出の手法には以下があります。
- 液液抽出(LLE)——水相と有機溶媒相に試料を分配させ、目的成分を有機相に移行させる。分配係数(K値)に基づいて分離効率が決まる
- 固相抽出(SPE)——吸着剤(シリカ、逆相C18など)を充填したカートリッジに試料を通し、目的成分を保持後に溶出する
- 加速溶媒抽出(ASE)——高温高圧下で溶媒による固体試料からの抽出効率を高める
- 超臨界流体抽出(SFE)——超臨界CO₂などを用いた環境負荷の低い抽出
分離の原理は、目的成分と夾雑成分の間に溶解度・極性・吸着親和性・イオン強度などの差があることを利用します。複数回の抽出を繰り返すことで回収率を高めることができ、クレイグ分配(向流分配)のような系統的な多段分配法もこの概念を応用したものです。
食品・環境・医薬品分析の前処理として不可欠であり、農薬残留検査や尿中薬物検出などの現場で日常的に活用されています。操作の自動化・省溶媒化も近年進んでいます。
使い方・例文
農薬残留検査では、野菜をアセトニトリルで抽出した後、分散固相抽出(QuEChERS法)で夾雑物を除去するという多相抽出の手順が標準的に使われています。
この用語をシェア
最終更新: