他者論とは?
たしゃろん
他者論とは、自己とは異なる存在である「他者」とはいかなるものかを問い、自己と他者の関係を哲学的・社会的に考察する学問的議論の総称です。
他者論(たしゃろん)とは、哲学・倫理学・社会学・精神分析などの分野において、「他者」という概念を中心に据えた思想的議論の総称です。「他者」とは、単純には「自分以外の誰か」ですが、哲学的文脈では「自己の意識からはその内面に直接アクセスできない、根本的に異質な存在」として問題化されます。
近代哲学においてデカルトが「我思う、ゆえに我あり」と自己の確実性を出発点にしたとき、他者の存在をいかに確認するかが問題となりました。これが「他者問題」の出発点のひとつです。この問題に対して様々な哲学者が取り組んできました。
- エトムント・フッサール:相互主観性(間主観性)の概念で他者の存在を説明しようとした
- マルティン・ハイデガー:共同存在(ミットザイン)として他者との共存を存在論の基礎に置いた
- エマニュエル・レヴィナス:他者の「顔」が倫理的な呼びかけをしてくるという「他者の倫理学」を展開した
- ジャン=ポール・サルトル:「他者の視線」が自己を対象化し、自由を脅かすとした
現代では他者論は多文化主義・ジェンダー論・ポストコロニアル批評とも交差し、「異なる文化・性・身体を持つ他者とどう向き合うか」という実践的・政治的問題としても論じられています。「他者を排除する」のでも「同化する」のでもなく、差異を保ちながら共存する関係性の構築が問われています。
使い方・例文
「レヴィナスの他者論では、目の前にいる他者の顔が発する声なき訴えに応答することが、倫理の根本とされる。」哲学の授業や倫理学・社会思想の文献で用いられる概念です。
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